「いつの間にか騙してる?」ダークパターンとその危険性を解説
こんにちは、アクモスセキュリティチームです!
インターネットやアプリを活用したオンラインサービスは、現代のビジネスにおいて欠かせない要素となっています。しかし、「ダークパターン」と呼ばれる巧妙なデザインやサービス設計が潜んでいる場合、それが企業と顧客の信頼関係に影響を及ぼす可能性があります。ダークパターンとは、ユーザーが気づかないうちに特定の行動を取るよう誘導する手法です。
ダークパターンは企業にとって一見利益をもたらすように見えますが、長期的には顧客の信頼を損ない、ビジネスに悪影響を及ぼします。さらに、法的リスクが発生する可能性も否定できません。
この記事では、自社のオンラインサービスを運営または検討する企業のご担当者様に、ダークパターンの実態とそのリスク、さらに倫理的なデザインおよびサービス設計の重要性について、分かりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.ダークパターンとは?顧客を意図的に誘導する手法
- 1.1.ダークパターンの概要
- 1.2.ダークパターンの例
- 1.3.ダークパターンの7つの分類
- 2.ダークパターンがもたらすリスク
- 3.ダークパターンに陥らないサービス設計:信頼を守るための具体策
- 4.まとめ
ダークパターンとは?顧客を意図的に誘導する手法
ダークパターンの概要
ダークパターンとは、ユーザーを無意識のうちに特定の行動に誘導、または心理的な操作などを通じて不利益な選択をさせる可能性があるデザインやサービス設計のことです。たとえば、ある有名なオンラインゲームでは、意図しないアイテム購入を促す設計が問題となり、米国連邦取引委員会(FTC)が開発元に多額の制裁金を科しました。
ダークパターンの例
以下は、よく見られるダークパターンの一部です。
隠れた料金
購入手続きの最終画面で追加料金が表示される。
退会の難しさ
退会手続きが複雑でわかりにくい。
しつこいプロンプト
「このまま続けますか?」と何度も確認を求める。
強制的な選択
無料試用期間後、自動で有料プランに移行する。
ダークパターンの7つの分類
不同意取引・こっそり
ユーザーが明確に同意していない取引を意図的に成立させる手法です。典型的な例としては、購入プロセス中に自動的に追加商品やサービスをカートに入れることが挙げられます。ユーザーはそれに気づかず、そのまま購入を完了してしまうことがあります。
例1:チェックアウト画面で保険や延長保証が自動的に追加されている。
例2:ユーザーが明確にオプトアウトしない限り、有料オプションが含まれる。
社会的証明・他の人も~
「他の人もやっているから」という心理を利用して、ユーザーに特定の行動を促す手法です。これにより、ユーザーは自分も同じ行動を取るべきだと感じてしまいます。
例1:「今この商品を10人が購入中!」というメッセージで購入を促進。
例2:「このプランは最も人気です!」と表示して、特定のプランを選ばせる。
希少性・~だけ
「今しか手に入らない」「あと●個しかない」という感覚を植え付けて、ユーザーに焦りを感じさせ、即座に行動を取らせる手法です。この心理を利用することで、ユーザーは慎重な判断をする余裕を失います。
例1:「残り2個!今すぐ購入してください。」
例2:「セール終了まであと1時間!」とカウントダウンを表示する。
緊急性・あおり
サービス利用や割引に期限設定などして、意思決定や購入を急がせることです。
例1:カウントダウンタイマーでお得なキャンペーンや割引の期限を強調して知らせる
強制・仕方なく
ユーザーに望まない行動を強制、あるいは購入などの目的を達成するために何らかの操作を強制する手法です。特定のサービスやコンテンツを利用するために、必要以上の情報提供やオプション選択を強いることが含まれます。
例1:サービスを利用するために不要な個人情報を提供することを求められる。
例2:無料サービスを利用するために、過剰な広告視聴を強制される。
妨害・引き止め
ユーザーが特定の行動を取るのを難しくする手法です。特に退会やキャンセルのプロセスが複雑であったり、ユーザーを不必要な手順に巻き込んだりすることで、その行動を諦めさせることを目的とします。
例1:退会手続きが複雑で、何度も確認を求められる。
例2:解約やキャンセルが電話受け付けしかない。
誘導(誤動作)・誘い込む
ユーザーが誤った行動を取るように誘導する手法です。操作の意図を混乱させるデザインや曖昧な言葉を使い、ユーザーが本来意図していない選択をするように仕向けます。
例1:「キャンセル」ボタンが目立たず、代わりに「次へ」ボタンを押させる
例2:同意するつもりのない条件にチェックを入れたまま進行させる
ダークパターンがもたらすリスク
前述したようなダークパターンの手法は直ちに違法であるわけではなく、現実として様々な商慣行として、似たような手法がインターネットだけでなく実店舗でも実施されているもので、必ずしもすべて問題であるわけではありません。
しかし、近年ではオンラインでの商品やサービスの購入が日常化し、それに伴い複雑で意図的な悪質な手法が増加していることが懸念されています。こうした安易なダークパターンの使用は、企業(サービス提供者)にとって以下のようなリスクを伴う可能性があります。
顧客の信頼を失う
ダークパターンを使ったサービスは、ユーザーに「騙された」と感じさせます。一度信頼を失った顧客は、サービスを二度と利用しないだけでなく、SNSやレビューで悪評が広がる可能性があります。
ブランド価値の低下
信頼を失った企業は競争力を失い、ブランドイメージが傷つきます。一度低下したブランド価値を回復するのは非常に困難です。
法的リスク
米国や欧州では、ダークパターンに対して厳しい規制が進んでいます。たとえば米国連邦取引委員会(FTC)は、2022年9月にダークパターンに関するレポートを発表しました。このレポートでは、以下の4つの手法が問題視されています。
- 誤解を招くデザイン
- 重要な情報を隠す、または後で表示するデザイン
- ユーザーが承認していない課金に誘導する
- プライバシー設定をわかりにくくしたり、誤解させるデザイン
これらに該当する場合、米国連邦取引委員会(FTC)が法的措置を取る可能性があるとされています。
一方、日本では、ダークパターンを直接規制する法律はまだありません。しかし、特定の問題に応じて既存の法律が適用されることがあります。たとえば、特定商取引法では、サブスクリプションサービスの申し込み時に消費者を誤認させるような表示を禁止しています。
企業はこのような規制に注意を払い、顧客にとって誠実なサービスを提供することが求められます。
ダークパターンに陥らないサービス設計:信頼を守るための具体策
ダークパターンを回避し、ユーザーとの信頼関係を築くには、以下のポイントを押さえたデザイン・サービス設計が必要です。
透明性のある情報提供
料金や手続きに関する情報を分かりやすく明示しましょう。特に、追加料金や自動更新に関する情報は、事前にユーザーに明確に伝えることが重要です。
ユーザー中心のデザイン
直感的で使いやすいインターフェースを提供しましょう。退会手続きは簡単に見つかる場所に配置し、余計な手順を排除することが大切です。
第三者のフィードバックを活用
専門家の監査やユーザーの意見を取り入れることで、デザインの透明性を確保しましょう。第三者の視点は、企業が見逃しがちな問題を指摘する助けになります。
継続的な改善
設計・デザインは一度作れば終わりではありません。定期的にユーザーの行動を分析し、より良い体験を提供するための改善を続けましょう。
まとめ
ダークパターンに頼らないために
ダークパターンは、短期的には利益を生むかもしれませんが、長期的には企業にとって大きなリスクとなります。顧客との信頼関係を築くには、透明性と誠実さを重視した倫理的なデザインが欠かせません。
オンラインサービスを設計する際、わかりやすく使いやすいインターフェースを工夫することは大切です。しかし、そのデザインが「ユーザーが意図しない行動を取るように仕向けていないか」を十分に確認しましょう。小さな工夫でも、ユーザーに大きな安心感を与えることができます。
ぜひ、自社のウェブサイトやアプリのデザインを見直し、顧客との信頼関係を強化していきましょう。
標的型攻撃メールにもダークパターンが…
余談ですが、標的型攻撃メールや不正メールにも、ダークパターンと似た心理的な手法が使われています。
緊急性を装う
「アカウントがロックされています」「至急対応してください」といった内容で、急いで対応させようとします。
権威を利用
「社長からの指示です」「重要な取引先からの連絡です」と、信頼できる人物を装って行動を促します。
親しみを装う
「先日の打ち合わせありがとうございました。資料を確認してください」といった、親しい関係者を装うことで警戒心を下げます。
これらの手口は、ユーザーが冷静に判断する前に行動を起こさせることを狙っています。日々届くメールにも注意を払い、少しでも怪しいと感じたら慎重に対応することが大切です。
標的型攻撃メールへの備えも、企業の信頼を守る大切なステップです。アクモスの「標的型攻撃メール訓練サービス」は、社員の皆さんが怪しいメールに適切に対応できるようサポートするサービスですので、社員・職員が安心して働ける環境づくりに、ぜひお役立てください。まずはお気軽にお問い合わせください!
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